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2006年06月18日

やっと見つかった町医者

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 6月14日(水曜日) ロベロ続き

人口945人のロベロの町の医療を支えているのは、プライベートドクター。つまり町医者です。 写真の建物がエリケという高齢者特別ハウスの隣にある、薬局(アポテークと言います)が併設されたクリニック。やっと、 町医者の居所を見つけました。といっても、ご本人にはまだ会えません。建物を見ただけ。インタビューに何とかこぎつけたいものです。 とにかく、エーデル改革以降、スウェーデンでは介護の現場から医療が切り離されました。 これを簡単に日本に取り入れられては現場が混乱します。

私の母は田園調布博愛医院の柳沢徹先生に在宅の往診をしてもらい、パリアティブケア(終末期)を受け、 在宅で亡くなりました。それを支えたのが田園調布医師会訪問看護尾ステーションのチーフ、 宮近さんや只野さんをはじめとする看護師さんたちです。地域の医療に支えてもらいました。 母の介護を11年間してくれた大田区福祉公社の協力会員だったSさんが認知症になり、そのSさんを現在支えてくれるのが、 コダマクリニックの木之下徹先生。木之下先生を紹介してくださったのが、藤田和丸先生。 和丸先生は柳沢先生と一緒に世田谷大田の両区にまたがる在宅を支える介護医療関係者の「在宅ケアを語る会」を主宰して、 情報交換や勉強会を続けています。この数年、訪問診療をしてくださるお医者さんが増え、ずいぶんと便利になりました。ところが、 今度の医療改革ではこうした行動的な町医者のやる気に水を差すようなもの。

スウェーデンを調べていると、厚生労働省がスウェーデンをモデルにしていることが良くわかります。 似ている言葉やアイデアが沢山あります。しかし、スウェーデンが目指すのは、人間としてこの世に生まれたことを尊ぶこと。 ワールドカップではないけれど、「世界でいちばん人間的な生活ができる国」である名誉をかけて社会保障の充実を目指しています。しかし、 同時に1992年以降に拡大した経済不況を克服した合理化の努力もすごい。 人間の尊厳と合理化の2つをなんとも上手くマネジメントしています。

 町医者の話から思わず方向に話が発展しましたが、日本の医療改革を考える時、 スウェーデンの合理化だけを真似して取り入れられては困ると思います。このままだと、現場で働く人々が困惑し疲れきってしまいます。 高齢者を支える人々の労働環境が充実しないで、どうしていい介護を提供できるでしょう。 社会保障審議会の25人の委員の14人が大学先生たち。奥田経団連会長と、労働組合の代表が1人。県と町村の代表が1人ずつ。 医師の代表が3人。ジャーナリスト、エッセイストが1人ずつ。この方々の中で、一般の国民の利益、 介護現場で働く人々の利益を代表するのは誰なのでしょう。もともと社会保障審議会は労働者と経営者と政府の3者によって構成されるはず。 日本では労働組合の力は弱体化しました。介護労働者の意見が法律に反映する必要があると思います。

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投稿者 :rumi  |  2006年06月18日 00:17

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