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2006年05月30日
地域医療センターの役割
5月22日(月曜日)
写真はモナ・マンデルバーグさん、65歳。
つい最近までエスロブ市にある地域医療センターで働いていた看護師さんです。
私の今回の滞在は医療と看護と介護の関係をこの目で確かめること。
この日のインタビューは私の部屋で行いました。エスロブ市には地域医療センターが3つあります。モナさんはその一つ、
トーベルンドと呼ばれる市内の地域医療センターで働いていました。50%の勤務です。日本でいうパートタイムですが、
こちらでは時間が短いだけ、社会保障や仕事への責任はフルタイムとほとんど変わりありません。
地域医療センターの役割は地域の保険とプライマリケア(家庭医のレベルの初期医療)
に責任を持つことです。スウェーデン全体で900ヶ所あります。この他、管区病院が10、県に所属する病院が80。
医療は地域医療センターも含めて県に属しています。自治体には病院がありません。エスロブの人たちは、
救急の場合と難しい病気の場合は隣の町のルンドの大きな病院に行きます。インフルエンザにかかると、ここに予約の電話をかけます。
ちなみに、モナさんのような看護師さんが地域医療センターで電話受付をしています。 これはだいじな仕事で、電話で病状を聞いて、どこに、いつ、診療に行けばいいのかを判断して、振り分ける仕事です。考えてみると、 患者にとっても、医療サイドにとっても無駄がない。合理的な考え方につらぬかれているシステムですが、 どうしたら人間的な対応かがすべて基本にあります。今、日本でも医療改革が進んでいます。合理化という点では似ていますが、どこかが違う。 似て非なるもの。お医者さんがやる気をなくしそうで、とても、心配です!
過去4ヶ月の滞在で気付いたのは、お医者さんの姿を介護の場に見かけないことでした。 高齢者へのプライマリケアは医療を勉強したアンダーナースと呼ばれる介護者が、看護師に相談しながら行います。例えば、 サービスハウスには看護師さんの部屋がありますが、看護師さんは常時待機していません。35人の看護師が自治体で働いていますが、 必要な時に看護ステーションからサービスハウスに駆けつけてきます。お医者さんは1人も自治体に属していません。 看護師はお医者さんに相談しながら、家庭医がするプライマリケアを行っています。 スウェーデンで画期的な医療改革が行われたのは1992年のエーデル改革。それから14年。介護者が初歩的な医療を行うようになり、 医師が介護の場から姿を消しました。
投稿者 :rumi | 2006年05月30日 02:54