2006年02月18日
エスロブの経済行政はまかせて
2月17日(金曜日)
これがエスロブ市の市庁舎のエントランスホールです。いつも、作家物の展覧会が開かれています。 この日は絵が展示されていました。今日、午前10時からインタビューをするのは、イヴァン・ヒットラーさん。 エスロブ市行政の経済担当責任者です。なんだかいかつい名前でお会いする前から緊張していました。統計的な資料が欲しいので、 日本であらかじめリストアップしていたのを、英文でまとめ直すのに約3日かかりました。質問表作りも大変でした。 この日からスウェーデン語を英語に訳す通訳を頼むことになった、インド系イギリス人の精神科医のシーマさんが、何度も訂正をしてくれ、 何とか、事前に質問を渡すことができました。
彼とは何度か前に会っていました。 上の写真は去年の4月に初めてエスロブに来た時のもの。市庁舎のレストランでお昼をいただいた時の写真です。左から2番目が彼。 この時の印象と違い、イヴァンさんは実に楽しい人でした。通訳のシーマさんが優秀なので、2倍も仕事がやりやすくなりました。 スウェーデン語の資料を訳す仕事も彼女が買ってでてくれました。通訳業が彼女の本来の仕事ではないので、格安の価格です。 翻訳の仕事は重要ですが、訳してもらう量が多いので、経済的にも救われました。
イヴァンさんのユーモアのある回答の中でも印象的だったのは、 エスロブがこの10年、経済的に安定している、その原因を教えてくれた時です。「ワイフが上手に家計のやりくりをしてきたからでしょう」。 「というと」と聞く私に彼は原因は2つあるとさも簡単そうに答えました。「1つは元気な高齢者をあまりお金をかけないで増やしてきたこと。 介護の経費が節約できました」「2つ目は、介護職員の仕事への意欲を高めてきたことです」。
2つ目の答えは、 スウェーデンでは長期の病欠者が多いのが問題になっていました。病気で休んでも社会保障が完備しているので、首を切られることなく、 給料に近いお金が保障されるからです。2005年から、その保障の15%を市が負担することになりました。それでなくても、介護職の場合、 病欠者がでると、すぐに、その代わりの人が派遣されます。ピンチヒッターの給料もままにはならないわけです。仕事が楽しければ、 休む人も減るというわけです。エスロブでは介護職の人の帰属意識が高いような気がしました。例えば、 ヴィンセント君のお母さんのカメラさんは、普通の企業で働く方が給料が高いけれど、私は介護の仕事が好きだから、この仕事を選んだのよ」 と答えました。いかに職員を動機付けるかが経済的な安定をもたらしたのです。
趣味はハンティングというアウトドアー派のイヴァンさんは52歳。 皮膚の艶がよく、改めてきれいな男性だと思いました。若い頃は金髪で青い目のいかにもゲルマン民族という感じだったのではないでしょうか。 「エスロブ市は住民から信頼されていると思いますか」の質問に、「信頼されていると思います」と当たり前のように答えました。 無記名のアンケートの結果だそうです。
投稿者 :rumi | 2006年02月18日 07:19
コメント
毎日楽しみに拝見しています。
私も、介護職員の意識がちょっと違っただけで、その介護力は数段変わってくると思います。
どんな動機付けなのでしょうか・・・?
どんなところが、普通の仕事より、給料が安くても介護職を選ぶ理由なのでしょうか・・・?
自分が介護の仕事をしていて、時々、馬鹿みたい・・・と思う事があります。給料は安い、休みは無い、尊敬されない・・・
とは言え、自己満足と言われようが、介護職に誇りを持っているし、この仕事を選んだ事にも誇りを持っています。
介護の仕事は、色々な知識が必要で、たくさん勉強しなければ出来ない仕事です。
もっと、スウェーデンの介護の現場を見てみたい思いでいっぱいになりました。
荒井久美
投稿者 :荒井久美 | 2006年02月18日
いつの間に日本を脱出してたんですか。
るみさんのエネルギーと行動力には感服します。参りました。
怪我の無きように・・。
投稿者 :くろきん | 2006年02月19日
ご活躍に「すごいなー」と、私の日々の世界と全く次元の異なる世界を覗いている思いです。素晴しい方々が、次々と現れるのも瑠美さんのオーラゆえですね。お元気で。
投稿者 :佐藤 晄僖 | 2006年03月05日