« ヴィンセントのおばあちゃん Vincent’s gland mother | メイン | 朝のささやかな食卓。 »

2006年02月17日

エスロブは教育に特化する町

  IMG_0420

2月13日(月曜日)

今日も緊張する日となりました。 エスロブ自治体の行政のトップへのインタビューがあるからです
上の写真は昨年の4月に初めてエスロブに来た時に撮った写真。この日、私以外にも服部尚さんという、 大分県にある「太陽の家」という障害者の施設で働いている男性が来ていて、2人で市庁舎訪ねたので、 日の丸がエントランスに掲げられたのです。クリスチーナさんが気を効かせてくれたのでしょう。4月の晴れた日の写真です。

IMG_4910

この写真は、現在の2月の写真。市庁舎に向かう時に写したルーテル教会の写真です。 乳白色の霧が立ち込めていました。10時という約束の時間より早く市庁舎に着いて、1階ホールのベンチに腰掛けていると、 クリスティーナさんが2階から降りて来てくれました。同時に、ホールの脇のレストランから、 朝のコーヒーブレイクをしていたらしい黒のタートルのセーターを着た感じのいい男性が出てきて、私に握手を求めました。それがエジ・ リングボーンさんです。

エジさんは2000人のエスロブ市職員のトップです。 人数が多いのはケア部門で働く介護者などもこの数字に含まれているから。シシリア・リンド市長は政治家のトップ。エジ・ リングボーンさんは行政のトップ。彼の仕事は、政治家の作った4年間のプランを実現する仕事。スウェーデンでは、「行政と政治」 の役割分担が明快です。

「将来に向けた、あなたの教育、福祉、住宅問題の展望は何ですか」という質問対し、 「展望を語るのは政治家の仕事。私は政治家の立てたプランを形にしていくのです。私が答えられる質問ではありません」 という答えが返ってきました。スウェーデンでは、4年に1度の国と県と市の選挙の前に、政党が政策を発表。選挙民は政策で政党を選びます。 比例代表制です。選挙が終わると、それから4年間は、その政策に沿って行政が運営されます。日本の場合はどうでしょう。 政策で投票をしているかと聞かれたら、私は「はい」とは答えられません。そういえば、市庁舎には野党であるブルジョワ保守政党の 「もう一つの執行部」の部屋がありました。

IMG_4908

エジさんは、シシリアリンド市長に比べ実務家という印象。 彼は1974年に学校の先生としてのスタートを切りました。その後、船乗りになり世界を旅して回ります。東京にも来ているそうです。 スウェーデンに帰ってからは、大学で法律を学びなおします。エスロブの隣の町、古都ルンドで「教師を育てる学校の先生」 をして7年間しましたが、その後の大半はエスロブで過ごしたそうです。市の職員としては文化部を担当して長く、 難民の関係の仕事も長くしています。その後、「アッパー・セカンダリースクール」という専門学校を統括する責任者となります。 中学を16歳で卒業してから行く学校です。また、スウェーデンでは大人の再教育の場も開けています。 それは同時に外国人や難民がスウェーデン語を学び、職を得る職業訓練の学校でもあります。アッパーセカンダリースクールは、 市が責任をもち運営しているのです。

エジさんはこの地位に着いてほやほや。1ヵ月もたっていないという話です。 土地に余裕のあるエスロブは、EU諸国へのアクセスがよく大きな工場がここを生産の拠点にしていましたが、 最近では人件費の安いポーランドに工場が移ることが多いそうです。これから、エスロブは文化と教育に特化していくそうです。 教育肌のエジさんがこのポジションについた訳が理解できます。学校もこれから新設するのではなく、 現在の教育資源を伸ばしていくという話です。エスログは学校が多い町です。専門学校については後日レポートします。 「休日にはお父様の家を訪ねて、アコーデオンを弾くのです」と語った時、エジさんの落ち着いた表情が楽しそうな素顔になりました。

投稿者 :rumi  |  2006年02月17日 06:30

コメント